生きていくうえで避けて通れないお別れのとき。
悲しいですね。そして寂しさが募ります。
もし、自分が誰かの死に直面した時、そして、
それを誰かに伝えなければならなくなったら、どうしますか。
自分の家族、あるいは、会社の取引先の人などに不幸があったとき、どういえばいいのでしょう。
あるいは、自分が弔電を打たなければならなくなったりしたら・・・。
日本語は難しい。そう思うかもしれません。
私も社会人になった当初は「逝去」の読み方がわからずに、
恥ずかしい思いをしてしまいました。
そんな恥ずかしい思いをしないように、
「死亡と死去と逝去の違いと使い方」など、
三つの言葉の違いをここで、学んでおきましょう。
死亡と死去と逝去の意味は
この三つの言葉はどれも死ぬことを意味します。
辞書で調べてみると
・死亡―死ぬこと
・死去―人が亡くなる意味の漢語的表現
・逝去―人が死んだことの敬語
となっています。
死去も死亡も逝去も人が死ぬことを指していますが、
どういった場面で使われる言葉なのかに違いがあります。
死去とはこの世を去った人という意味があります。
つまり、死んでからしばらくたった人のことを指しています。
今しがた死んだばかりの人に対して、
「彼は死去した」というような言葉の使い方は基本的にはしません。
死亡とは、公的な場面で使われる言葉です。
事故や災害のニュースで「○人死亡」という具合に使われます。
また死去とは違い、今しがた死んだばかりの人に対しても使うことができます。
もちろん、死んでからしばらくたった場合でも、
「彼は死亡した」などという具合に使うこともできます。
逝去とは亡くなった人に対して敬意などの気持ちを表しているときに用います。
「○○様のご逝去を悼み・・」というように使います。
死亡と死去と逝去の違いと使い方
この三つの言葉は伝える相手によっても使い分けられます。
伝える相手はどのような方か?目上の人か?親戚か?
目上の方や敬意を払うべき方がなくなり、
お悔やみを申し上げる時は「逝去」をつかいます。
「逝去」は「死」の尊敬語で、
他人の「死」にたいして敬意を込めて表現した言葉です。
これは、立場上敬うべき言葉遣いの方が亡くなった場合といえます。
例えば、取引先の方、親交のあった友人や近所の方が亡くなり弔電を打つ時などです。
「ご尊父様のご逝去に接し、謹んでお悔やみ申し上げます。」
といった文面には亡くなった方への敬意を表しているのです。
あくまでも他人の死について使う言葉ですから、
身内の死について「逝去」は使いません。
例えば、父親が死んだ際には案内に、
「○○が〇月〇日に永眠いたしました」と記載し、
「逝去しました」とは書かないのが普通です。
家族や身内の人間が亡くなり、
それを外部の人に伝える時は「死去」をつかいます。
あなたがもし会社員だとして、
会社の人が亡くなった事を外部の方にお知らせする時には「死去」を用います。
また、家族や身内の誰かが亡くなり、
それを会社やご近所に伝える時も「死去」と表現します。
「死去」の他にも「他界」や「永眠」などを用いる場合もあります。
新聞・ニュースなどで誰かの訃報を伝える場合には、普通「死去」が用いられます。
これは死亡の事実を「ファクト」として捉え、気持ち・感情を盛り込まないためです。
死亡は、事故や事件で起こった現象、
つまり不特定多数の人や動物が亡くなった時に用いられます。
「死亡」「死去」「逝去」を用いた具体的な文例
ここで、それぞれ、具体的な文例をあげておきます。
<死亡の文例>
•火災が発生し、これまでに3人が「死亡」した。
•県内の交通事故による「死亡」者数は減少傾向にある。
<死去の文例>
•作家のA氏が「死去」した。
•親戚のBさんが「死去」しました。
•弊社社長Aの「死去」に伴いBが社長に就任しました。
<逝去の文例>
•国際的有名な映画監督のA氏が、○月×日、「逝去」した。
•御母堂様のご「逝去」を悼み、謹んでお悔やみ申し上げます。
•取引先のA社長が「逝去」されました。
このように、意味は同じでも場面によって用いる言葉は違ってきます。
これから、仕事上やそれ以外でもいろいろな場面に遭遇することでしょう。
言葉の違いを理解して、報告をしなければいけなくなったときなど、
相手に失礼のないようにしたいですね。
社会人として是非覚えておきたい言葉の使い方です。
ご説明ありがとうございました。